東京篇
どうもどうも毎度お騒がせします、ハロウィーンもいつの間にか終わってしまって、11月になりましたが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。
最近本当に寒いですね。もうヒートテックにニット一枚じゃ、凍えてしまうので、ついにコートを出しました。快適~~~!!コート大好き。
さてさて、本日の記事は前回に引き続いて、お出かけ放浪記です。冗長になる可能性が極めて高いやつですね。今回なにも考えずに、普通に書いたら一万字越えるんじゃないかな……と帰宅しながら、ぼんやり思いました。一万字越えてしまうと、読者の皆様の苦痛になるのでそれだけは避けたいのですが、どうなることやら。
いつもなら、ここからぐだぐた脇道に逸れていくのですが、今回はいつもの与太話に、字数を割けるほどの余裕はございませんので、早めに本題。
先日、11月2日は、久しぶりの東京遠征。学割効いたとはいえ、往復で二万円越え。ひぇーー。東京はなんて遠いんだ。奈良往復2000円とは訳が違う。こんな切腹に近いような費用を、わざわざ自腹切って捻出したのには理由がある。今、上野がイケてる!
現在の上野には特別展の嵐が吹き荒れている。あの狭い上野公園内の、あそこでも、ここでも、向こうでも特別展。まさに「芸術の秋」を騙った「儲け時の秋」である。アリさんホイホイ並みに人が上野に集まってくる。私も勿論そのうちの1人。果てしなく混んでましたよ、上野。
まずは早朝から。於京都駅新幹線乗り場。
お金ないので自由席。朝7時代なので車内結構混雑。どこに座ろうかと迷っていると、OLさん風美人お姉様の隣に、恐れ多くも座席を賜る。お姉様から漂う、くらくら目眩がする甘い香りに意識を失い、気づくと名古屋を通過。
はっ!ヤバい大変だ!もう名古屋過ぎてる!富士山の写真は絶対撮りたい。ここからは常に窓側をチェックしておこう、と窓のほうをガン見していると、お姉様、不審に思われたのか、カーテンを左手ノールックで下げてしまわれる。ァァァァァーー!!! 小さく心のなかで叫ぶがもう遅い。
お姉様に不敬を働いた私が悪いのだ。ここは一旦諦めて、撮影スポットが近くなってきたらデッキへ行こう。そう決めたら気が楽になって、お腹がすいていることに気づく。そういえば、朝ごはん食べてなかったなぁ。
旅を楽しむ余裕が出てきたので、お菓子を開封。お菓子というより、おつまみか。今日もコカ・コーラゼロが美味しい。
お菓子をつまみながら、今回の予習をしようと雑誌をパラパラ。毎回思うけれど、付録いらないから安くして欲しい。写真一番上のフェルメール表紙の雑誌なんて1,500円だったかなぁ。結構なお値段。付録ポーチとかいらないから、安くしてくれぇぇ…
でも内容・解説は、なかなかに面白くて、つい没頭してしまう。特に「ぴあ雑誌」は絵画の解説が至極丁寧。めっちゃおもろい。
やーーーばーーいーーー!!!
脱兎のごとくデッキに向かって走る。富士山が逃げてしまうぞ!急げ急げ!デッキの小さな窓に額をぶつけながら、一心不乱に富士山を探す。
新幹線は速すぎる。上の写真みたいな、富士はおろか、現在地すらよくわからない景色が数秒続いたらすぐに、またトンネルに入って、違う場所にワープしてしまう。わけわからん!わしにはやく富士を見せたまえ!!!
すると急に開けた平地にワープ。デッキにへばりついていると、左のほうに富士山!
おお……。雲海が分厚い……。尊い。
雪積もってるやん…。………尊い。
まぁでも、欲を言えば、北斎の
葛飾北斎『富岳三十六景 凱風快晴』
ぐらい至近距離で撮りかったけれどしょうがない。しょうがないけど、撮影スポットが近づいてきたら、車内アナウンスで教えてくれたっていいじゃないか。座席にとぼとぼ帰って、写真フォルダからベストショットを探す。
そしたら、いつの間にか品川。
うわ~~、、、と東京の線路の多さに若干引く。そもそも、何で山手線と京浜東北線は似たようなルートを、わざわざほぼ同時刻発車してぐるぐる回ってるんですか。抜きつ抜かれつの時に、ドア付近の人同士で目が合って、ちょっと気まずいと思うのですが。
あっという間に東京駅。ラッシュ時過ぎてるので、人は言うほど多くない。人混みをすいすい掻き分けて、山手線で上野へ向かう。
伝説通り、東京民はエスカレーター左でした。こういう、座席とくっついている二本のポール(?)手すり(?)は一体何に使うんだろう…。物凄く座るときに邪魔だった。やはり東京民の文化は甚だ謎である。
上野まではたった数駅。さぁどんどん行こう。
上野駅をパンダ橋口から出ると、すぐに公園内に入れる。
春にはお花見客で賑わう桜並木を駆け抜け、小松宮彰仁(コマツノミヤ アキヒト)親王像を左目で流しつつ、少し歩くと東京都美術館に着く。現在東京都美術館ではムンク展の真っ最中。大盛況のムンク展、当日券売り場も5分ほど並ぶ。
音声ガイド借りようかと思っていたが、沢山の人が並んでいたので、あえなく断念。
ムンク展会場内、びっくりするぐらいの人混み。今回の目玉でもある「叫び」周辺は特に混雑。係員の「前列のお客様は立ち止まらずに、少しずつ前にお進み下さい」という声が虚しく響き渡る。
出展作品すべてが、ムンクの作品ということで、出展作品は大きく9つのテーマにわけられていた。第一室でムンクの姿に迫り、第四室では「叫び」を中心に、画家の不安と絶望を味わう。第五室、六室はムンクの女性への不信感が強く表れているような作品が多くて、ちょっと苦笑い。
エドヴァルド・ムンク「吸血鬼」
多分、第五室に展示されてた。女性をわざわざ赤髪(欧州では「罪」の象徴として嫌われる)で描いているところも、何とも言えず、ただただ苦笑い。過去に何か女性関係でトラウマになるようなことがあったのだろうか。
<ちなみに>
こういう場所(ブログとかネット上)で、雑誌やら図録やらに既出の解説を、あたかも自分の言葉のように、ドヤ顔で読者に向けて講釈する方々も勿論いらっしゃるが、私個人はあまりそういう人たちを好きませんので、ここで作品解説をするつもりは更々ございませぬ。ございませぬが、自分が感じたこと、考えたことは、つらつら垂れ流し的に書きたいので、当ブログの絵画解釈は間違いだらけです。八割方間違いですので、そこだけよろしくお願いしますね。(いつも迷惑ばかりおかけしてすみません。毎回ぶつぶつ文句言いながらも読んでくれる読者の皆様大好きです!)
ムンク最晩年は明るい絵も増えていて、一安心。そのままミュージアムショップへ。とりあえず図録を買って、うろうろ。なんとガチャガチャがある。ポケモンとコラボ商品らしい。
ポケモンはあまり詳しくないので、やっぱりピカチュウが欲しい。右上の、ピカチュウのお化けみたいなやつ、怖いから、あれだけはやめてくれ、と念じながら400円投入。今思えば、そこそこのお値段だなぁ。
なんとピカチュウ!!!ワロタ。ドヤ顔で撤退。普通に嬉しい。
東京都美術館を出たら、そのまま、お向かいの上野動物園へ。シャンシャンを見ずには帰れない。動物園入り口を入ってすぐにパンダ舎がある。おかしい……。金曜の午前中にも関わらず人が群れをなして大行列を形成している。
最後尾を探して行列にそって移動すると、最終的に死刑宣告を食らう。
ワロタ。
えぇ~~、悩む。ただでさえ時間ないのに、90分並ぶのは危なすぎる。でもシャンシャンにご挨拶せねば京都に帰れない…。
悩む私に一筋の光が。
そう。シャンシャンは一匹ではなかった。行列に程近い、ショップへ足を運べば無数のシャンシャンに会える。かわいいことこの上なし。精一杯愛でて次へ。
お次は、上野動物園と東京都美術館のちょうど真ん中に位置する東京国立博物館。只今、平成館で特別展「京都大報恩寺 快慶・定慶のみほとけ」が開催されている。京都民は大報恩寺という正式名称よりも、千本釈迦堂の名称の方で馴染み深い。
人はそんなに多くない印象。ゆっくりと展示品を鑑賞できる。
快慶作の十大弟子立像を、東博お家芸である完璧なライティングの元、至近距離で拝する。アーナンダは基本的には美男子で表現されるが、快慶作のアーナンダは、なんか変。これ、イケメンか?と首を傾げたくなる出来映え。
あばれる君にしか見えない私は信仰心が足りないのだろうか。
逆に十大弟子一番のイケメンはこちら。
東博さんの気のきいた、いたずらにより、折り目が写り込んでしまっているが、彼の美しさはその程度では霞みもしない。なんと言っても、意思の強そうな瞳に惹かれる。彼が盲人であることを忘れてしまいそうな、この鋭い目力にやられてしまった。もうメロメロである。
大報恩寺本堂秘仏、釈迦如来坐像も鑑賞できる。ガラスケースがないので、本当にノンストレス。
年に4回(うろ覚えなので自信なし)のみ御開帳の秘仏。光背(コウハイ ,仏像の後ろについてるオーラのようなもの)が光に透けて、会場の絨毯にレースのような繊細な陰を落とす様は、言葉にできないほど美しかった。
なんと展示品のうち、聖観音のみ撮影可能。美形の仏さまであった。シャッターが止まらない。
そのままミュージアムショップへ案内される。またまた図録を買って、店内を物色。
面白グッズ多数のカオス空間でした。
某漫画とのコラボグッズ。ブッタの言い分に笑ってしまった。
これについてはワロタ以外の何の言葉も出てこない。
そんな、常時耳につけてまで徳を積みたい人いるのか、と苦笑いしていたら、品切のシール多数で真顔になる。
そんなことより写真左の「セクシー大根焚きポーチ」が気になって止まないのだが、写真撮ってなくて現在、地団駄を踏んでおります。
図録二冊を背負いながら、少し上野公園を南へ移動して国立西洋美術館へ。恥ずかしながら人生初の訪問。綺麗な建物で世界遺産という感じはあまりない。
国立西洋美術館ではルーベンス展が開催されている。バロックの巨匠として名高いルーベンスであるが、日本での知名度はそんなに高くないように思う。あまり人がいない上に、館内とても広いので、快適快適。蟻地獄の上野に於いて唯一の穴場である。
ルーベンスはとにかく絵が上手い。素人の私はやっぱり、写真みたいな絵画を見ると、すごい……と感心してしまうし、その反面、モダンアートはよく分からない。ピカソやらダリやらマティスやら、さっきのムンクも、実際のところよく分からない。
暗い色彩と荒々しい筆致、虚構と現実の入り交じったスケッチから画家の想いを汲み取るよりも、キャンバスの上に美しく細かく描かれた登場人物たちのストーリーを想像する方が何倍も楽しい。その点、ルーベンスは本当にわかりやすい絵を描く。多分、紳士的で、親切な性格なんだと思う。
「怖い絵」シリーズで知られる中野京子氏をして「ルーベンスは漫画みたいな絵」と言わしめたが、まさにそんな感じ。漫画のように、登場人物一人一人がややオーバな表情。
「エリクトニオスを発見するケクロプスの娘」
吹き出しを想定するならこうだろうか。
違いますね。
すみません調子のりました。
国立西洋美術館を出たらそのまま南下して、上野の森美術館へ。上野の森美術館へは、噂の「フェルメール展」をお目当てに訪問。
なんか人が溢れてる…。午前中は混むとの情報があったので、わざわざ平日の15時ごろに訪問したのに、この人の多さ。フェルメールすごい…
入場券は日時指定制らしく、「次回のご案内は16:00からになりますが、それでも宜しいですか?」と目元の笑っていない東京マダムに脅される。はい、と頷くと「お会計2,000円になります」と言われ思考停止。大学生で2,000円か……。相場の二倍ぐらいなので、フェルメール展すごすぎて言葉が出ない。
支払いを終えて、時間まで、どこかぶらぶらしようかと考えていたら、もう16時組の待機列が出来ている。まだ30分前ですよ!??と言いたくなったが、仕方ないので並ぶ。
私の前には30人ぐらい。
16:00目前になると、最終的に、この行列が200mぐらいに成長していた。
画像小さいので分かりにくいが、行列は蛇行しながら続く。
いざ館内へ。会場内はもうパニック状態。あれだけの客が16時になったら一斉に押し寄せるのだから、当たり前だが、前後不覚のお祭り騒ぎ。
大泣きする子どもの声と、誰かに足を踏まれたのだろうか、「痛いっ」と叫ぶ老若男女の声。
そして悲劇は重なる。フェルメールの作品が一部屋に集められたフェルメールルームなるものが、クライマックスに登場するのだが、如何せん、フェルメールの作品は小さい。基本的に約40cm四方のキャンバスに絵を描くので、体感A3用紙よりもちょっと大きいかな、ぐらい。
作品が小さいので、ある程度近くに寄って鑑賞したいが、今回のフェルメール展、ロープが張り巡らされてあり、1mぐらい離れたところからしか鑑賞できない。細かいところが見えない。「光の画家」と言われるフェルメールの、「光の粒」の技法を見に来たようなものなのに、全く見えない。悔しい。
みんな考えることは同じで、みんな血眼になって「光の粒」を探す。すると、誰かが立ち止まるので、全く列が流れないようになってしまう。驚くことに、係員の「最前列のお客様は~~」という案内がないので、同じ絵と10分ぐらい、にらめっこするという謎の状況に見舞われてしまった。
人の熱気や、頭に響く騒音に疲れはて、ついイライラしてしまう。油絵なので、照明はもう少し絞ってもらった方が見やすいのになぁとか、係員さんも案内ぐらいすればいいのにとか、嫌なところばかり見えてきて精神的にも、肉体的にも、もう、ぐったり。来年2月中旬以降は、大阪市立美術館で巡回してくれるので、フェルメール展はこっちで見た方が無難ですね。東京展は本当に地獄絵図。
上野の森美術館を出ると、もう日が傾いている。東京駅へ向かう。
西郷隆盛像。大河ドラマ「西郷どん」はいよいよ佳境。昨日11月4日の回で、岩倉使節団がメリケンへ旅立ちました。もうダメだ。もうすぐ西郷どん死んでしまう。ツッコミどころ多数のドラマでしたが、流石中園ミホ氏、ストーリーはとても面白かったので、終わってしまうのは何だか少し悲しい。
東京駅に着いてからもやることがある。
まずは丸の内南口に移動して原敬暗殺事件の場所を探す。しかし東京駅複雑怪奇。なんとかたどり着く。
リーマンおじ様が、まさに踏まんとする所が原敬首相が刺殺された地点らしい。
結構わかりにくい場所にある。
続いて、浜口雄幸銃撃現場へ向かう。
こちらは実際の事件現場である、東京駅ホーム(現10番線ホーム8号車乗り場付近)に目印はなく、そのちょうど真下にあたる、新幹線中央乗り換え口付近に案内プレートが存在する。
人通りが特に多い場所なので、立ち止まって写真を撮っていると白い目で見られる。事件当時の写真のようなものも見つけたので掲載。真ん中の白髭の紳士が浜口首相。
そろそろ帰らねばならぬので、そのまま新幹線中央乗り換え口から新幹線乗り場へ。
東京の夕焼けは綺麗なグラデーション模様。淡い紫がとてもきれい。
20時前に無事、京都駅着。
図録四冊背負っての帰路は思っていたよりも辛くない。翌日背中バキバキでしたけどね。
全体的に駆け足でしたが、上野を満喫。字数の関係でカットしたものも多いが、上野は何度行っても新しい発見が必ずあって、しみじみ、いい場所だと思う。
これからの年末年始、さらに人が集まってくるであろう上野。東京民にお伝えしたいのは、ルーベンス展が物凄くいい、ということ。讃美歌の聞こえる会場内で、宗教画や神話を主題にした美しい絵画の数々を堪能して欲しい。それと、何度も念を押すようだが、フェルメール展は覚悟してから行くようにお願いしたい。
いい経験になりました。
次回の記事こそは、簡潔に(多分無理)。