徒然なるままに 日くらしパソコンに向ひて 心にうつりゆくよしなし事を そこはかとなく書きつくるブログです(大嘘)

西安ツアー完結篇

f:id:milk-doughnut:20190314232421j:image
「精神的に向上心のない者はばかだ」と言われると、もはや何も言い返せない三日坊主女です。皆さまお変わりないでしょうか。

きっちり三日目で更新が止まり、醜態を皆さまに晒した三日坊主女ですが、心機一転、きちんと己の務めを果たさねばという心持ちで、この辺境に舞い戻ってきた次第であります。ちゃんと「向上心」を持って各方面に噛み付いていきますね(愚)

 

1.石像をばはや飽き果てつ

ついに四日目。五日目は帰国するだけのスケジュールなので、長かった訪中記事もこれで最後。皆さまに呆れられながら始まった、このプロジェクトもなんとか完結しそうです。よかったよかった。

朝、9時頃ホテルを出発してまずはシルクロードの出発点へ。

f:id:milk-doughnut:20190314165730j:image

唐代、開遠門があった場所付近に群像が立つ。顔の彫りが深く、ラクダに乗った西域商人の石像が西向きに設置されており、当時のシルクロードの情景を思い浮かべることが出来る。

開遠門とは何ぞやという疑問を解決するためには、唐代の長安城地図を見れば一目瞭然。

f:id:milk-doughnut:20190314191045p:image

ネット上に散見するゴチャゴチャ情報過多の地図をシンプルにリメイク。結構手間が掛かる。でも読者さまのためを思って(いちいち恩着せがましい)、黙々と色塗り作業。現在の市街地(明代城壁内)はこう見ると案外狭いんですね。市街地から西へ西へ行ったところに開遠門。

エセ正倉院展マニアの私からすれば、ここは出発点であっても終着点ではないのだと声を大にして言いたい。様々な西域由来の物品がここからさらに東の朝鮮へ、さらには日本へ伝わっている。

f:id:milk-doughnut:20190314194619j:image

余談になるが、私の恩師が何年か前の正倉院展で展示されていた﨟蜜(ロウミツ。蜂蜜を丸餅状に固めたもの。薬として使用された。)を「あんパンをペシャンコに潰したような」と形容していたのが、今でも忘れられない。後にも先にも、授業中に我を忘れて吹き出してしまったのはあの時だけである。まさに言い得て妙。

話を戻す。遠い土地に家族を置いて、あれからいくつのオアシス都市を抜けただろう。見渡す限り続く荒涼とした砂漠に心が折れそうになる。互いに励ましあい、互いに夢を語り合いながら見上げた満天の星空は不意に泣いてしまうほど美しかった。遂に長安への入り口、開遠門の前に彼らは立った。込み上げる嬉しさや達成感、仲間への感謝の念を彼らは、聞きなれない異国の言葉で思い思いに叫ぶ。

ーーそんな、遥か昔、確かにこの地を踏んだ様々な人々の活気がひしひしと伝わってくるーーことは特になかったが、まぁ、別に、いい石像だな、と思った(適当)。朝早かったので例のごとく意識朦朧でござる。そして風強くて寒かった。記憶無いっす。てへぺろ

 

2.或日の朝方の事である。

その後青龍寺へ。

f:id:milk-doughnut:20190314195626j:image

青龍寺空海や円仁、円珍など入唐留学僧らゆかりのお寺。前身は隋の文帝まで遡って、582年創建の霊感寺。唐代に現在の青龍寺に改名。どんな理由があったのかは調べてもよくわからず。

建造物は1980年代以降復元の新しいもの。

f:id:milk-doughnut:20190314195733j:image

f:id:milk-doughnut:20190314200315j:image

境内にはギリギリアウトな遊園地がある。某世界企業の目を盗んで開園したその心意気を評価したいが、オブジェが何か不気味。子供には刺激が強すぎるのでは?と心配になる。

f:id:milk-doughnut:20190314200551j:image

恵果和尚と空海

日本、特に香川県が尽力して復興したお寺なので空海のゴリ押しが凄い。

f:id:milk-doughnut:20190314200818j:image

終いには「青龍寺はお遍路さんの0番札所です」とか言い出す。禁じ手を使いやがったな青龍寺め、と思いながらも罠にかかり、御朱印帳を購入。なんと200元。日本の相場の倍ぐらいの値段なので、ぼったくりも甚だしいが、泣く泣く購入。

中国人マダムにお金を渡そうとすると、「この箱に入れろ。青龍寺ではお布施の形をとるから。」的なことを言われる。うん、、、観光客相手にぼったくりながら、そこを気にするなんて逆にいやらしいな、と思いながら指示に従った。100元で図録も購入したが、うん、、、というクオリティ。うん、、、青龍寺、、。

 

3.いづれの御時にか

そのまま北上して興慶宮公園へ。

興慶宮は唐代造営の、玄宗皇帝の治世に政執が行われた場所。安史の乱以降は荒廃の一途を辿るも、1950年代に西安市政府によって整備、観光地化されたらしいっすね。1979年、入唐1200年を記念して公園東南隅に阿倍仲麻呂記念碑が建てられ、日本人観光客に人気のスポットに。にしても、入唐1200年て。悠久の時を感じますね。

記念碑の側面には李白の詩が刻まれ、もう一方の側面には仲麻呂漢詩が刻まれている。和歌「天の原〜」の五言絶句バージョン。漢詩を中国語で聴くと趣があってよい。

f:id:milk-doughnut:20190314203254j:image
f:id:milk-doughnut:20190314203248j:image

お昼ご飯。テーブルに並ぶお魚は鯉。陝西省の料理を出すレストランだが、日本の中華料理屋寄りの味付けでとても美味しい。バーミ○ンとか餃子の○将で慣れた舌には非常によくマッチ。みんなで初めて大皿を空にすることが出来た。

 

4.石死にたまふことなかれ

午後、碑林博物館へ。

石碑が林のように建っていることから碑林の名前がついたらしいが、林どころの騒ぎではない。もはや森、いや山か。論語の石碑もある。

f:id:milk-doughnut:20190314211346j:image

f:id:milk-doughnut:20190314211350p:image

大昔は科挙受験生が、ちょっと前までは観光客が、こぞって拓本を取るので、刻んだ文字が薄くなってしまった。なので今は拓本禁止。

ミュージアムショップで図録を買って、露店で本を漁る。20元に値切って購入した本は翻訳ガバガバで後日爆笑。

f:id:milk-doughnut:20190314230326j:image

人類文化及び歴史の宝庫といえよら」「各時代の風貌を表しこいる」など、中国→日本語の翻訳に苦労する作者の姿がありありと目に浮かぶ。ありがとう、作者。

前に予定してた、王羲之顔真卿の行書、楷書の癖を考察云々は時間足らず、また後日。首を長くして待ってた一部変態読者の皆様には深くお詫びをすると共に、連絡先教えて下さい。変態同士懇意になりたいです(土下座)。

 

5.現地ガイドの毛さんは博学才穎

碑林を辞して、城壁を散策。

f:id:milk-doughnut:20190314213709j:image

自転車で颯爽と移動する毛さん。私がバカみたいに購入した本を、重いデショとか言って預かってくれた。惚れた。

南門から西門まで、約3kmの道のりを延々歩く。つらい。途中で踵をどこかに落とすハプニングに見舞われたが、何とか回収。足を棒にしながらゴール。

f:id:milk-doughnut:20190314221704j:image

早めの晩御飯。今回は火鍋。日本のしゃぶしゃぶと何が違うんだろうという感じ。

 

6.諸行無常の輝きあり

f:id:milk-doughnut:20190314222931j:image
f:id:milk-doughnut:20190314222926j:image
f:id:milk-doughnut:20190314222935j:image

f:id:milk-doughnut:20190314223814j:image

スーパー派手なライトアップがされた大唐芙蓉園へ。唐代の建物を復元したテーマパーク。そんな、インスタ映え間違いなしの風景を前に、私とK女史、えげつないぐらいゴリおを撮影しててワロタ。ほんと何で選ばれたんでしょうね私たち。その後ホテル着。

翌朝、起床は狂気の4:30。8時半ごろ西安を発ち、13時ごろ帰国。関空でお昼ご飯をご馳走になったが、私一人だけ空気を読みきれず「特上うな重」を注文。白先生、明らかに引いてた。K女史は何食わぬ顔で心理戦に勝利してみんなと同じ「うな重」を頼んでやがる。チクショー。でも特上うな重、ぶっ倒れるぐらい美味しかったです。

 

訪中4泊5日これにて完。全体的にまだまだ書きたいことあるので、今後ぼちぼち加筆予定です。

実は初めての海外旅行だったので僅かながら不安もあったが、美魔女の白先生、色男の毛さん、グランドキャニオンの如く深い懐を持つK女史、生意気な私を可愛がって下さったお姉さま方のおかげで、当初の不安などどこ吹く風。楽しい楽しい西安旅行でした。ありがとうございました。ダラダラ長い記事に最後までお付き合い下さった読者の皆様も、本当にありがとうございました。もう、3月中はちょこちょこ加筆するぐらいで、しばらく更新しないと思います(笑)

 

最後に。様々な問題で揺れる日中関係。両国の友好を祈って丹精込めて描きました。ね、私絵上手いでしょ。読者の皆様が抱く、ほんまに絵上手いんか?という疑いはこれで晴らせたかと思われます。白先生に誉めてもらおうと思って頑張りました(不純極まりない動機)。

f:id:milk-doughnut:20190314233940j:image